資産運用

【資産運用】初心者が投資で失敗しないために知っておくべき3つの重要ポイント

  • 「もしも資産運用に失敗してしまったらどうしよう。」
  • 「お金を ”増やす”・”守る” ために、資産運用を始めたい気持ちはあるけれど、やり方を間違ってしまったりして、逆に資産を減らしてしまうようなことにならないかな。」
  • 「今の (資産運用の) やり方で本当に大丈夫なのかな。」

これから資産運用や投資の世界に足を踏み入れようとする 「投資初心者」の方々が、こうした不安を募らせ、運用に失敗してしまう怖さばかりが先立ってしまうという気持ちは非常によく解ります。

運用・投資について勉強する中で、「投資に失敗して、大きな借金を背負うことになってしまった。」とか、「資産運用に手を出して色々と金融商品を買ってみたは良いものの、結局は損してばかり。」というような話を耳にすると、そんなネガティブな心境になってしまうのも無理もありません。

では、初心者が感じるそうした不安や心配事を払拭し、これからの資産運用で大きな失敗を犯してしまうことなく、運用で成功を収め続けていくためには、どのような行動を取っていく必要があるのでしょうか。

資産運用に失敗しないために押さえておかなければならない重要な知識や考え方というものは、そのレベルに応じていくらでも出てくるものではありますが、その中でも、『普遍の真理』として ”絶対に外してはならないポイント”というものが実は存在しています

さらに、”投資初心者” という観点で言えば、運用を開始した後に「陥りやすい ”ワナ”」といったものに関しても、できるだけ早い段階で知っておくに越したことはないでしょう。

そこで今回は、

投資初心者が ”運用失敗へと向かう道” をまっしぐらに進んで行ってしまわないために、押さえておかなければならない「最低限の知識」

というテーマでお話していきたいと思います。

これを読むことで、”投資の失敗” に対する漠然とした怖さや不安を払拭し、「初心者が本当にやってはいけないことは何なのか」そして、「どういう行動をとると、実際に借金を背負ってしまったり、人生を棒に振ってしまったりすることになるのか」、そういった ”失敗の本質” を理解することができるようになるかと思います。

「投資・運用はしたいけど、大きな失敗をするのが怖い。」そんな方は是非最後まで読んでみてください。

 

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投資・運用で失敗しないために本当に大切なこと

冒頭でも触れましたが、『証券投資』や『資産運用』を行っていく上において「意識しておかなければならないこと」や、「知っておかなければならない知識」、そして「持っておくべき考え方」といったものはいくらでも挙げられます。

投資セミナーや著名な投資家の話などを聞けば、それこそ十人十色の考え方を元にした様々な話を聞かされることになり、「なんかみんなバラバラのこと言ってるな。」とか、「正反対のことを言っている人すらいるよね。」といった感覚に陥ってしまう人も多いのではないかと思います。

これは現実問題として、「投資家”レベル”」に応じて、考えなければならないポイントや、その具体的な投資戦略も変化していくということがあるからこそ起こってくる現象です。

ただ、肝心の投資初心者がまずはじめに知っておく必要があるポイントというのは、実はそういった類の話ではありません。

そうした高度な投資戦略に触れるよりももっと前の段階で、何よりもまず真っ先に理解をしておかなければならないこと、つまりは「投資・運用において、初心者が運用失敗への道を突き進んでしまわないために知っておくべきポイント」というものがあるのです。

それが以下の3つです。

  • ”失敗する”ということの本当の意味を理解する
  • リスク管理の重要性についてしっかりと認識しておく
  • 初心者が陥りやすいワナに気をつける

それぞれ詳しく見ていくことにしましょう。

<ポイント1>”(運用に) 失敗する” ということの本当の意味を理解する

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まずはじめに、『失敗』という言葉の定義、つまり、資産運用をしていく中において、「どうなることがダメなことなのか」、「何が起きれば失敗と捉えなければならないのか」といった点を明確にしておかなければなりません。

「運用に ”失敗する”」というのは、もちろん ”損失を出し続けて資産を減らす” ということ、そして最悪の場合には、”多額の借金を抱えてしまう” といった状況に陥ってしまうことに他なりません。

後者の「借金問題」については、「レバレッジ」の章で後述したいと思いますが、問題は前者の「”損失を出す” ということに対する捉え方」です。

この捉え方を間違ってしまっている人が、一般投資家にはものすごく多いというのが現実なのです。

結論から言ってしまいましょう。

資産運用や証券投資を行っていく上において、

「(投資・運用によって) 発生したマイナスが全て ”失敗” ということではない」

ということをまずはしっかりと理解しておくことが大切です。

つまり、常に「打率 10割」、「100点満点」を達成し続けるということは、投資の世界では不可能だと考えておかなければならないということです。

この「大前提」をまずは頭に叩き込んでおくようにしてください。

投資初心者や経験の浅い一般の投資家というのは、少額の損失が発生しただけで、例えそれが含み損のような未実現のものであったとしても、「損をした!」と大騒ぎをしてしまいます。

ここで参考までにお伝えしておくと、ヘッジファンドや年金基金といった組織にいる ”投資・運用のプロフェッショナル” でさえも、常に ”勝ち続ける” ということは不可能です。

仮に、1年間で 1億円の利益を生み出した投資家がいたとして、多くの場合、その内訳というのは、1.4億円のプラスと、0.4億円のマイナス、というような形になっているのが通常であり、1年を通して ”全勝” した結果が 1億円の利益だったというようなことはほぼ起こり得ません。

したがって、あなたの資産状況にマイナスが発生した瞬間、「失敗した!」と決めつけてしまうようなことはしてはいけません。それは資産運用における「失敗」にはあてはまらない場合が多いからです。

では、本当の意味での「運用の ”失敗”」とは、どういう状態のことを言うのでしょうか。

資産運用で「失敗した」と言わざるを得ない時、それは、

資産運用での ”失敗” の本当の意味

自分が予期していなかった”想定外”のことが起きた結果として損失を被った時

ということです。

そしてさらに、これに加えて初心者の方のほとんどが陥ってしまう、ありがちな「本当の意味での ”失敗”」、それが

投資初心者が犯しがちな ”失敗”

投資判断後 (金融商品を買付後)、買付時の自分の考え(投資方針) を完遂し切れなかった時

というものです。

投資初心者の人たちは、これらの本当の意味での ”失敗” を犯してしまわないよう、気をつけておかなければなりません。

順に解説していきます。

想定外の事態が発生したことによる損失

投資の世界における ”想定外の事態” とは一体どういうものなのか、なかなかピンと来ないかもしれません。

これは、「自分が理解でき、行動を起こせる範囲内」、つまり「対応しきれる範囲」というのを ”超えてしまった状態” のことを指しているという風に考えておくようにしてください。

より解り易くイメージできるよう、具体的にお話しましょう。

例えば今、あなたが投資信託を購入するとします。

この投資信託の「投資先 (何に投資して利益を狙うのか)」や「運用会社のこれまでの実績」、細かな手数料等含む「コスト体系」など、一通りの基本事項を理解した上で、最終的に買付けることを決め、実際に保有したとします。

その後月日が立ち、ある時、リーマンショックのような世界経済を揺るがす大きな事件が発生してしまいます。

そこであなたは慌てふためき、自分が購入した投資信託が値下がりしていくのをただ眺めているだけで、どうすることもできずにいます。

これは投資初心者のほとんどに見られる傾向なのですが、

  • 「今は下がっているけど、いつか戻るだろう。」
  • 「損失を確定してしまうのは嫌だ。」

そんな感覚ばかりが強くなってしまい、いつまでたっても「売却する」という決断を下すことができないのです。

つまり、そのような最悪の事態が発生した際の具体的な判断基準を持ち合わせていなかったがために、どう行動して良いのかが解らず、自分の資産がみるみる減っていくのを、ただ指をくわえて眺めているしかできないという状態に陥ってしまっているのです。

もうお解りでしょうか。

これが、想定外の事態が発生したことによる損失の拡大、という初心者が回避したい大きな失敗の1つ目です。

つまり、”リーマンショックのような大事件が起きたこと” が「想定外」なのではなく、そういった非常に稀なものも含めた最悪の事態が起きた時に、「自分がどう行動するかということをあらかじめ ”想定していなかった”」という意味で、「失敗した」という状況が発生してしまっているということなのです。

ただし、これを解決する方法は非常に単純です。

あらゆる事象を、事前に ”想定しておく” のです。

金融商品の購入時に、あらかじめ「期待リターン」や「保有期間」を含む『出口戦略』をしっかりと練っておき、その商品の「価格水準」や「世の中の動き」、そして「経済情勢」など何でも構わないのですが、自分の中で「これがこうなったら、こう行動する。」という方針、基準を設けておくのです。

つまり、あらゆる事態が起こってもおかしくないという前提に立ち、様々なシチュエーションを ”想定” して、買付の判断をするということがとても大切だということです。

運用失敗を回避する方法1

金融商品の買付時に、あらゆる可能性を想定し、具体的な出口戦略を想定しておく

金融商品の値動きというのは、”上がる” か ”下がる” かのどちらかしかあり得ません。

ですので、価格水準を基準にするならば、「○○円まで上がったら売却する。」、「○○円まで下がったら売却する。」という方針、またはその他経済情勢等を基準にするならば、「○○%まで利上げが進めば売却する。」、「○○の経済見通しに陰りが出てきたら、売却する。」などという風に出口戦略を思い描いておくということです。

一方で、もちろん「この投資信託は、中期的には上下動が激しくなる局面もあるかもしれないが、安定業種を軸にした組み入れで、分配型でもあるため、日々の値動きはそこまで気にすることなく、基本的に売却しないという方針で長期保有する。」という考え方があっても構いません。

繰り返しますが、大切なことは、あらかじめ自分の中でルールを設けておくということです。

そしてさらに言うなれば、そのルールを守り切るということも大切になってきますので、続いてはその部分についてお話していきます。

当初の投資方針を完遂できなかった時

資産運用・株式投資の”初心者”が陥りやすいワナ|失敗例から学ぶ運用術

続いて、”失敗” の本当の意味の2つ目ですが、これはもはや ”読んで字の如く” ではありますが、要は、「金融商品を買付する際に決めた自分のルールを守り通せなかった」ということです。

前述のとおり、投資初心者というのは、いざ実際に金融商品を購入し、その価格推移を追っていく中で、

  • 上がれば、「まだまだ上がるのではないか。」
  • 下がれば、「いつかは戻るだろう。」もしくは「損を確定したくない。」

そういった感情がどんどんと大きくなっていってしまうという人がほとんどです。

そうなると最後、10,000円の基準価格で買い付けた投資信託が、12,000円を超えたら利益を確定しようと思っていたのに、その後も好調に 12,500円を上回り、13,000円を目指しそうな勢いだとなった途端に、「やっぱりまだ売らずに持っておこう。」という判断をしてしまうのです。

こうした判断こそが、悪夢の始まりです。

この判断が最もダメな理由は、前述の通り「当初の自分の投資判断・投資方針を曲げてしまう」ことで、「投資の規律が失われてしまう」ためなのですが、さらに言えば、こうしたことを繰り返し、それが癖づいてしまうことで、簡単に言うと、自分でも ”わけがわからなく” なってしまうのです。

つまり、当初決めていた自分のルールを無視してしまったことで、もう「どういう形で手仕舞い(売却) すれば良いのか。」全く判断がつかなくなってしまうということです。売り時を完全に見失ってしまうことになるわけですね。

そういった意味においては、前段の ”想定外の事態が発生した後” の状態と似てはいるのですが、本質的には意味が異なりますので、この ”当初の投資方針を完遂する” ということも併せて意識しておかなければなりません。

運用失敗を回避する方法2

買付時に自分で定めた運用方針は守り抜く

<ポイント2>『リスク管理』こそすべて

資産運用・株式投資の”初心者”が陥りやすいワナ|失敗例から学ぶ運用術

次に、投資初心者が大きな失敗を犯してしまわないために重要なポイントの2つ目として、常に意識しておく必要がある何よりも大切なポイント、それが、

最重要ポイント

運用 (投資) を行う上での『リスク』をしっかりとコントロールする

ということです。

極論すれば、これさえできていれば、あなたが資産運用において取り返しのつかないような大きな失敗を犯してしまう事はまずありません

もし万が一、「失敗した!」という状況が生まれてしまったとしても、再起不能なレベルまで落ち込んでしまうといった事態は避けることができるのです。

この ”「リスク」をコントロールする” ということを、もう少し解り易く、具体的に言うならば、

その時その時の投資判断にかかる『リスク (とリターン)』について ”正しい理解” をもとに推測し、自分の想定外の事態が起こる可能性を極限まで小さくしておく

という風に言い換える事が可能です。

これは前段での「想定外の事態を発生させないよう、あらかじめあらゆる状況での行動を投資方針として定めておく」という話にも通ずる部分でもあるのですが、この「リスクコントロール」さえしっかりとできていれば、少なくとも不用意に ”何がなんだかよく解らない” ままの状態で、損失だけが膨らんでしまうようなことは起きません。

改めて言うまでもないことですが、今後「リターン (利益) を追求していく」ためにあなたが購入を検討していくことになる「金融商品」には、それぞれが持つ「期待リターン」に応じて、様々な「リスク」が内包されています。

そしてこの「リスクとリターン」というのは、必ず ”1セットで” 捉えておかなければなりません

「リスクとリターン」というものは、皆さんも耳にしたことがある「ハイリスク・ハイリターン」、「ローリスク・ローリターン」というのが基本原則となっているわけですが、その内包されたリスクが表面に現れ、経済的損失、つまりあなたの資産に取り返しがつかないほど大きなマイナスの影響を及ぼしてしまう事こそが、最も避けたい事態だということになるわけです。

ではこの ”最も避けたい事態” を引き起こさないためにしておかなければならないこととは一体何なのか。それが冒頭でお伝えした、

”「リスク」をしっかりとコントロールする”

ということなのです。

ただ、そうは言っても当然のことながら、初心者のうちはこの「リスクとリターンの関係性」や「各金融商品に内包されたリスクの大きさと、自分が追求すべき期待リターンのバランス」といったものをなかなか見極めることができません。

そんな時はどうするか。

まだ『資産運用を始めない』ということです。

そんな時は「急いては事を仕損じる」、この言葉を胸に刻み込んでおきましょう。

まず、勉強するのです。

資産運用、証券投資の世界というのは、そんなに甘いものではありません。(もちろん、ここでお話ししているような内容を十分に理解し、”自分のとれるリスク” というものを的確に判断できるという自信がある方は、どんどん資産運用を進めていきましょう。)

巷にあふれる「すぐに儲かる。」「必ず儲かる。」「誰にでもできる必勝法。」、そんな売り文句はすべて ”嘘” です。断言しておきます。

それまで全く資産運用や証券投資の経験がなく、関連する知識もほとんど持ち合わせていない人間が、少しの勉強や感覚的な見通しを頼りに運用を始めても、自分の資産をどんどん減らしてしまう結果になることは目に見えています。これは、残念ながら、間違いなくそうなります。

したがって、はじめのうちは、株式や投資信託、そして債券など基本的な金融商品について、その基礎をしっかりと学んでいく必要があるのです。

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そして、各金融商品の特性や自分の投資方針との相性なども理解できるようになってはじめて、少しずつ資産運用を始めていけば良いのです。

マーケットはいつでも待ってくれています。

そしてそんな時、当サイトの記事も適宜参考にしてもらうことができれば、大変光栄です。

少し話が逸れてしまいましたが、改めて『リスク管理の重要性』というテーマに戻り、話を先へと進めていくことにしましょう。

資産運用に失敗しないための『”リスク管理” の重要性』というものについて考える時、その前提にある、しっかりと頭に刻み込んでおかなければならない重要なポイントが大きく2つ存在します。

それが、

  • 『致命傷』を負ってしまわない
  • 『レバレッジ』を安易に利用しない

この2つです。

詳しく解説していきます。

致命傷を負うことは絶対に避ける

まず、「リスク管理が重要である」ということの真意は、「致命傷を負うことは絶対に避けなければならない」という点に集約されています。

逆に言えば、致命傷を負わない (取り返しのつかないような大きな損失を出してしまわない) ようにするために、「リスク管理を徹底する」ということになるわけです。

投資家が何かの金融商品に投資をしようとする時、前述のように、今後の見通し次第で想定されるリスク要因について可能な限り洗い出し、それらが発生した場合の行動をあらかじめ考えておくということが非常に大切になってくるわけですが、この時に、それぞれのリスクの大きさを鑑みて、最も大きなリスクというものを想定し、それが致命的な失敗となってしまうようなものであれば、そこについては特に慎重に見通しを描いた上で出口戦略を検討し、場合によっては、その投資の実行をキャンセルするぐらいの判断が必要になってきます。

ではこの「”致命傷” を負う」というのは、具体的にどのような状態に陥ってしまうことを指しているのでしょうか。

これは、損失を被ってしまった後の挽回の仕方について考えることで、ある程度検討がつけられます。

また具体的な例でお話ししましょう。

今あなたが 300万円を元手に運用を始めたとして、想定よりも早く、20%のマイナスが出てしまい、損切りをしたと仮定します。(ここでは解り易くするために損失を 20%と大きめに設定しています。)

この時、結果として、300万円の投資元本を 240万円にまで減らしてしまったということになるわけですが、これを元の 300万円に戻すためには、125%のリターンを得る必要が出てきます。( 240 × 1.25 = 300 )

これを見てわかる通り、損失を出した後の投資元本を元に戻すためには、その損失幅よりもさらに大きなリターンを追求しなければならない状況が生まれてくるわけです。

20%の損失を元に戻すためには、25%の運用成果が必要になる

そして「リスクとリターンの基本原則」に照らして考えると、当然、大きなリターンを追求するためには、大きなリスクを負わなければならなくなってきます

つまりこの例で言うと、300万円を元手に投資をしようと考えた時、その対象となる金融商品が、最大で元本を 240万円にしてしまうリスクがあると自分で想定したとして、その 240万円を元の 300万円に戻そうとした時に、さすがに相当大きなリスクを背負わなければいけない状況になるということが確実だと解った時、その金融商品には投資すべきではないと判断する、もしくはそこまで大きな損失を実現してしまう前に(損失が膨らみ始め、マイナス20%にまで到達するより前に) ”損切り” するということをあらかじめ投資方針として決めておくということが必要だということです。

このように、将来的に想定される最大のリスクが顕在化した時に被る損失の大きさが、それをリカバリーするために必要となるリターンのリスク量を超えた状態となった時、その損失は ”致命傷” と考えざるを得ない大きさだということになるのです。

資産運用における ”致命傷” とは

その損失を取り戻すために必要なリターンに伴うリスクが大きくなり過ぎるレベルのマイナス状態

ただし、この致命傷の度合いというのは、実際には人によって異なります。

”人によって異なる” と言うよりは、”その資金自体のリスク許容度によって異なる” と言った方が正確かもしれません。

つまり、同じ「投資元本:300万円」という場合にも、その300万円が、絶対に減らしたくない ”なけなしの資金” なのか、それとも他に十分な資産があり、”大きなリターンを求めるためにどんどんとリスクをとっていける資金” なのかで、リスク許容度が根本的に大きく異なってくるということです。

また、詳しくは後述しますが、ここでは運用を行う ”期間” についても、リスク許容度を検討する際に影響を及ぼす要素として考慮しておかなければなりません

30代や40代ぐらいまでの若い世代であれば、その後の収入次第で挽回ができる可能性も出てきますが、定年間近やすでに年金生活に入っているという人が、今ある資産を運用するということを検討する場合には、よりシビアにリスクについて検討していく必要が出てくるというのは当然のことです。

したがって、自分の置かれた状況や、追求したいリターン、資金の性格等から、もし万が一損失が大きく膨らんでしまった場合に、その後それを取り戻すためにはどのくらいのリターンが必要になってくるのか、そしてその時の期待リターンに見合ったリスク量が、自分のリスク許容度に収まっているのか、という観点から考えていけば、自分にとっての ”致命傷” がどの程度のレベルのものとなるのか、自ずと答えが導き出されるということです。

そしてこれこそが、リスクをコントロールするという状態なのです。

資産運用における ”致命傷” とは

その損失を取り戻すために必要なリターンに伴うリスクが大きくなり過ぎるレベルのマイナス状態

金融商品についてある程度勉強が進んでいくと、単利と複利の違いなども含め、各金融商品でどの程度のリターンが見込まれるものなのか、そしてそれらのリターンにはどの程度のリスクが内包されているものなのか、がある程度推察できるようになってきます。

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ちなみに、詳しくは下記にてお話ししていますが、金融機関の営業マンなど ”売る側の人間” というのは、お客さんに「その期待リターンを得るために、どれだけリスクが小さいか。」(つまり、「”ローリスク・ハイリターンの商品ですよ。」ということ) という視点から金融商品を勧めてきますので、あなたがその商品に内包されるリスク量を少なく見積もってしまう可能性が出てきます。したがって、もしも金融機関の担当者等から営業を受けるようなシチュエーションに出くわした際には、「これはよく解らないな。」と少しでも感じる部分があるのなら、少なくとも初心者の間はその商品への投資は見送るべきです。

さらに付け加えておくとするならば、想定外の事態の発生により、逃げ遅れてしまうことによって致命傷を負ってしまうというリスクも当然ながら考えられます。

既にお話しした通り、投資においては、失敗しない秘訣の一つとして、想定外の事態を生んでしまわないということが非常に大切になってくるわけですが、もしも想定外のことが発生してしまうと、それによって致命傷を負ってしまう可能性が高くなります。

現実には、なるべく初動を早くすることで最悪の事態は回避できることがほとんどですが、投資初心者の場合であれば、心理的に売却に踏み切ることができなかったり、そもそも商品設計上解約できない仕組みや条件が付加されていることを買付時に理解できていなかったりして、大きな損失を生んでしまうといったことが起こり得ます。

初心者にありがちなミス

  • 今売却すると損失が出るということが解ると、売却に踏み切れない (損切りできない)
  • そもそもその金融商品に流動性のリスクがあることを理解できていない (後述)

したがって、しつこいようではありますが、致命傷を負わないためにも、やはりなるべく最初の段階で、商品特性やその構成内容、そしていざという時のアクションに至るまで、しっかりとした見通しと方針をもって買付を判断するということが大切になってくるというわけです。

『レバレッジ』を安易に利用しない

ここまで、『リスク管理の重要性』というものを理解するために知っておきたいこととして、『致命傷を負ってしまわない』ということについてお話してきましたが、そのもう一つのポイントが『レバレッジ』というものです。

「レバレッジ」という言葉を聞いて、あなたはすぐにその意味が解るでしょうか。

ネット上や投資に関する本などで書かれているのは、

”レバレッジとは「てこの原理」を意味する投資の世界における表現のひとつであり、借り入れを利用して、自己資金では得られないリターンを得ることができる戦略で、その分リスクも大きくなる”

といった説明です。

中には高度な運用手法の中で、どのようにレバレッジが活かされているのかといったことや、レバレッジを活用することによる効率的な投資戦略などに言及しているものもありますが、投資初心者が注目しておかなければならないのは、レバレッジのそういった側面ではありません。

初心者が「レバレッジ」の意味として理解しておかなければならないのは、”借り入れを利用して” という部分、ここだけです。

つまりここで知っておいて欲しいことは簡単です。

「レバレッジ (=借金) =”悪”」

「レバレッジ=初心者が手を出してはいけないもの」

単純にそう覚えておくようにしましょう。

レバレッジ を利用した商品や、レバレッジが組み込まれた金融商品というものは、投資・運用の世界にはたくさん存在していますが、完全に理解ができるようになるまでは、そういった類のものには一切手を出さないと思っておけば大丈夫です。

投資に馴染みがない、経験の浅い人が耳にする「投資でとんでもない借金地獄に陥った。」とか「投資に失敗して全財産を失うことになり、壮絶な人生を送ることになった。」といった類のお話は、この借金こそがそのすべての元凶となっていると言ってしまっても過言ではありません。

そしてその借金を、投資の業界、要は ”売る側の論理” でカッコよく、もっともらしく言い表したのがこの ”レバレッジ” という言い方なだけなのです。

よくよく考えてみればすぐに解ることですが、自己資金、つまり自分の資産の範囲内で投資を行っている分には、最も最悪の場合でも、自分の資産が限りなくゼロになってしまって終了です。

それが「レバレッジ」、要は「借り入れ」によって調達した資金までを投入してしまうことで、一旦投資判断のミスなどが重なると、その借り入れ部分がどんどんと膨らむこととなり、挙句には自分の資産の範囲を超えてマイナスとなってしまうことで、全財産を失うような ”身ぐるみをはがされる” ような状態に陥ってしまうのです。

投資初心者と「レバレッジ」

「レバレッジ (関連商品)」は、”買わない”・”使わない”・”近寄らない”

具体的には、株式投資であれば「信用取引」や「先物取引」、投資信託であればブル・ベアのような商品設計に代表される価格変動が参照指数の変動の数倍になっているようなもの、FX取引においては、そのまま「レバレッジ取引」などという言い方をしますが、こうしたレバレッジを戦略に組み込んで投資を実行できるのは、「超上級者になってから。」と思っておけば大丈夫です。

今のうちは「”レバレッジ” 関連の投資・商品には決して手を出さない。」と ”無視” しておいて構いません。

リスクの想定の仕方

では、そのリスク管理において、具体的にはどのようにリスクを ”想定” していけば良いのでしょうか。

先ほど、資産運用を進めていく際に、致命的な損失を被ってしまわなないための考え方についてはお話ししましたので、そのリスクの捉え方については理解していただけたのではないかと思いますが、今後金融商品を選択していく上において、「リスクとリターンのバランス」といった観点からは、どの程度のリターンにはどの程度のリスクが適正なレベルなのかということが解っていなければ判断することはできません。

ということで、このリスクとリターンのバランスを理解するために、リスクの想定の仕方というものについてお話していきたいと思いますが、ここでも先にその考え方の究極的なの結論を先にお伝えしてしまうことにしましょう。

自分が投資を検討する金融商品の『 ”リスクとリターン”のバランス』におけるベストな状態は、

リスクが小さければ小さいほうが良い

というものです。投資初心者のうちは、これだけを頭に入れておけば大丈夫です。

「なにを今さらそんな当たり前のことを。」と感じられるかもしれませんが、リスクとリターンについて考える時、究極的な結論としては、ここに行きつくことになります。

非常に単純ですが、これが理想形だという所から検討をスタートしてください。

ただそうは言っても、当然ながら ”そうは問屋が卸さない” ということで、そんなにうまい話はありません。

ごく稀に、「ブラックマンデー」や「ITバブル崩壊」、「リーマンショック」や「コロナショック」などのように、何十年かに一度、市場がパニック状態に陥り、本来の価値を大幅に下回る水準にまで株価が売り込まれる現象が起こったり、最近では、機械的な売買というものもかなり主流となってきている中で、AIなどの処理により、相場の急激な下げ局面で、今後まだまだ大きく下げるという予測がなされると、その時点で実態を無視した ”投げ売り” 状態となることも起こります。

したがって、そのような実態から大きく乖離した、”あり得ない水準” まで売り込まれた状態というのは、ある意味でバーゲンセール状態であり、冷静に考えれば絶好の買い場となることも稀に起こるのですが、ここではあくまで ”通常モード” の状態、いわば ”凪(なぎ)” の相場状態におけるリスクとリターンの見極め方、リスクの想定の仕方についてのお話です。

今、”リスクは小さければ小さいほうが良い” というお話をしましたが、要は、最も理想とするリスクとリターンのバランスを言葉で表現するとするならば、「ローリスク・ハイリターン」ということになるでしょう。

つまり、今から株式や投資信託、債券などの購入を検討していくにあたり、その投資対象や発行体などの条件のうち、リスク要因となるものをできるだけピックアップし、その投資対象に期待できそうなリターンに対して、現時点でのリスクが非常に小さいと感じられれれば、それは ”買い” であると判断することができるのです。

リスクとリターンの見極め方

その金融商品の ”期待リターン” と、細かなものから大きなものまで ”リスクファクター” を可能な限り洗い出し、得られるリターンに対してそのリスクが小さいと感じられれば ”買い”

具体的にお話ししましょう。

今、ある会社「A社」の株価が 1,000円だったとします。このA社の事業は、他社が真似できないような先進的な技術を用いた製品を作ることで、市場も非常に大きく、これから生産効率を向上させていくことで益々コストを下げ、利益を生み出していくことが期待されています。

そんな「期待度:大」のA社ですが、財務的には少々借り入れが多い状況です。成長フェーズの会社で、事業内容にも期待が寄せられていることもあり、様々な金融機関からの借り入れや債券の発行等により借り入れが大きく積み上がっています。

さらに、株価水準もPER、PERともに非常に高い水準にあり、一部では ”(期待感による) 買われ過ぎ” も指摘されているような状況です。

さて、この時あなたがこのA社の株を買うかどうかを判断する上で、リスクとリターンをどのように捉えるでしょうか。

当然、今後の成長期待の方が大きいと考えれば、今の株価よりもまだまだ買われていくであろうから、”買い” であると判断できるでしょうし、いくら期待値の大きな事業に取り組んでいるからと言っても、さすがに今の株価は高過ぎると感じれば、”買わない” という判断になるでしょう。

このように、リスクとリターンのバランスという意味においては、そのリスクを想定する際には、まずはそれぞれの材料を可能な限り集めてみて、自分の考えに沿って、リスクとリターンどちらの方が大きいかということを検討するのがはじめの一歩となります。

そうしてその商品の期待リターンが大きそうだとなって初めて、あなたの「資金の性格 (どれぐらいリスクのとれる資金なのか)」や、「投資する期間」、その他の保有商品との「ポートフォリオ内のバランス」などを鑑みて、最終判断を下すということになっていくのです。

そこに正解はありません

未来のことは誰にも判らないからです。

一流の投資家が、「今は買うべきではない。」と言ったにもかかわらず、あなたがその商品を買い付け、あなたの見通しが正しくて利益を出せるということも十分に考えられますし、もちろんその逆もしかりです。

したがって、リスクを想定するという作業を行う際には、

  1. まずはしっかりとした判断材料を集める
  2. それを自分なりに分析できる力・知識を身につける
  3. 自分なりの出口戦略を常に思い描いておく

というステップが大切になってくるということです。

こうした予測や分析というものは、一朝一夕にできるものではありませんが、経験を積むという意味においては、その ”場数” も大切な要素の一つになってきますので、様々な金融商品についてそのリスクを検討し、ノートなどに将来予想を書いておき、数ヶ月~年単位でその結果を検証してみるといったことをしてみるのもすごく良い勉強になっておすすめです。

なお、こうした訓練というのは、何も実際に金融商品を購入しなくても、購入したと ”仮定” して行うことも可能なものでもありますので、運用原資となる軍資金を貯めている間とか、すでに投資元本を用意してあるという場合でも、慎重に投資判断を下す練習を積み上げるという意味で、まずは自信を持って買付ができる状態を目指すためにそうしたシミュレーションを行ってみるという姿勢も大切かと思います。

また、リスクについて検討するには、商品設計の観点からの考察も非常に重要になってきます。

つまり、その商品の「流動性」や「解約に関するルール」、株価等に連動するような条件付きの商品であればその「個別の条件」など、今後その投資対象がどうなったら、自分が投資している商品はどのような扱いになるのかということについても把握しておかなければ、いざという時に逃げ切れないといった事態を招いてしまうことになるからです。

「株式」であれば、十分な売買量が確保されているのか (大量のパニック売りが出た時でもすぐに売り逃げることができるのか)、「債券」であれば、その発行体リスクは十分に安心できるものなのか、そして「仕組み債」のような複雑な商品設計のものになれば、参照する指数等の動き次第で解約ができなくなったりはしないか、などという観点から商品を見定めていく必要があるわけです。

ちなみに投資上級者たちというのは、常にこうした複眼的な視点を持ち、自分がその株式や債券等の金融商品を買い付けするかどうかという判断を行っていて、プロともなると、その背景事情や見通しに関連するイベント (経済指標の発表や政治情勢、決算や商品の発表など) までも考慮に入れながら判断を行っています。

もちろん、上級者だからといって、全てが自分たちの思惑通りに動くとは限らないということは前述のとおりです。

未来は誰にも予測ができないものですし、リスクの取り方およびリターンの求め方もそれぞれの投資家ごとに異なります。

すなわちこれが、『リスクを管理する』または、『リスクとリターンを ”見極める”・”予測する”』ということなのです。

ここまでの話のポイントをまとめておくことにしましょう。

  • 運用失敗を避けるための最大の防御策は『リスク管理』
  • リスクとリターンを正しく理解・把握できる力を身につけることが大切
  • レバレッジを利用した投資には安易に手を出さない
  • 自分の期待リターンを適正に追求する
  • 理想は ”ローリスク・ハイリターン”
  • 商品設計や構成まで理解して投資する

こうした点をセットにして投資判断を行っていく事で、あなたが大きな失敗を犯してしまうリスクというのは限りなく小さくしていく事ができるようになるのです。

「想定外のリスク」への備え方

資産運用・株式投資の”初心者”が陥りやすいワナ|失敗例から学ぶ運用術

さて、ここまで「”リスクをコントロールする”ということが何より重要である」というお話を繰り返しお伝えしてきたわけですが、既にお気付きの様に、残念ながら全てのリスクを把握・回避するということは、現実には不可能です。

直近で言うと、「リーマンショック」や「新型コロナショック」に代表されるように、マーケットの誰もが”想定外”とする事態というものが出現し得るのです。

では、そうした「想定外のリスク」というものに対しては、どのように備えておけば良いのでしょうか。

ポイントは2つあります。

  • 流動性を意識する
  • 想定外を想定しておく

それぞれ見ていきましょう。

流動性

まず”流動性”という観点ですが、もしも想定外の事態が発生した場合に、運用対象として保有している金融商品から撤退しよう(売却しよう)と考えた時、その商品に十分な流動性が確保されていなければ、”逃げるに逃げられない(売るに売れない)”という事態に陥ってしまうということです。

つまり、「いつでも換金(現金化)可能な商品であるかどうか」ということを、その金融商品の購入前に十分に検討しておく必要があるわけです。

この「換金できない」という問題には、「マーケットが ”売り一辺倒” となってしまって売れない」というパターンと、「そもそもその金融商品の商品設計上現金化することができない」というパターンの2つの問題が存在し、この2つは同じ「流動性リスク」でも、その意味が大きく異なりますので注意が必要です。

前者はもともとは ”売却可能” なものとして認識していたものの、非常事態の ”パニック売り” 的な圧力によって身動きが取れなくなってしまった(買手がいなくなってしまった) 結果、自分ではどうすることもできな事態に巻き込まれてしまった状態であるのに対し、後者は購入時に把握できていたことです。

後者の、「商品設計上、流動性が担保されていない」という事に関しては、そのリスクをも理解した上で、それに見合ったリターンを追求するという意思を持って購入していなければなりません

マーケットがパニック的な売り圧力に晒されてしまってから、「あれも一旦解約しておこう。」と考えて問い合わせると、「それは満期まで売却できません。」と言われて途方に暮れるという事は、想定外の事態が発生した際に、投資初心者によくある話です。

想定外を想定しておく

これも前章でお話した「リスクをコントロールする」という 「”失敗しない” ための投資行動」のうちの一つに含まれるものでもありますが、「最悪の事態が発生した場合であっても、自分の意思のもとでそれらを差配できる状態を作っておく」ということが非常に重要です。

もちろん、自分の中で相場見通しをしっかりと立てた上で、流動性が制限されてしまっている商品を購入するというのであれば、それは「リスクをコントロールできている状態」と言うことができますので、その場合は何も問題はありません。

「流動性リスクは非常に大きいけれど、それに見合うリターンは期待できるし、そこに拠出する資金も満期まで換金できなくても大丈夫なものだから、総合的に考えてこの商品は買う価値がある。」そんな風に判断して買付けた商品であれば、不測の事態が起ころうとも、もともと ”想定の範囲内” のことが起こっただけという状態ですので、何も問題はないわけです。

つまり、「想定外のことが起こる可能性をも考慮に入れながら、その商品をどの程度自分のポートフォリオに組み入れていくのか判断する」ということが非常に大切になってくるという事です。

あなたがもし「子供の将来のため」という動機から資産運用を行っていたとして、その将来、つまりいざ子供にその資金を使いたいとなった時に「換金できません」という状態になってしまっていては、本末転倒と言わざるを得ないわけです。

ただ、「これもリスク、あれもリスク。リスクが怖い。」と委縮してしまってばかりでは、資産運用を前へ進めていく事はできません。

したがって、金融商品の購入に際しては、流動性がどの程度確保されているのかという点について、事前に各商品をしっかりと精査しておくということ(『流動性を意識する』)、そして、想定外の事態が起こり得るということまでも想定して投資戦略を立てておく(『想定外(の事態が発生することもあり得るということ)を想定しておく』)ということが非常に重要であると意識して、投資判断を下していくようにしていきましょう。

「運用期間」と「リスク許容度」の関係性

『”リスク管理” の重要性』について考える時、資産運用を行う「期間」というものも、考慮しておかなければならない大変重要な要素の一つです。

前述の通り、投資の成果というものは、”プラス” の部分と ”マイナス” の部分を合算した、「トータルのリターン」で評価するというのが鉄則です。

ただその際に、そのリターンの評価というものを、”どのぐらいの「期間」で区切って行うのか” という問題が出てきます。

期間の設定次第では、リターンの評価も大きく変わってきてしまうからです。

これは保有する金融商品の商品特性、つまり、投資信託であればその組み入れ銘柄の特徴や、そもそも ”株式型” なのか ”債券型” なのかといった違い、そして ”分配型” なのか、”再投資型” なのかといった商品設計の部分などによっても左右される部分ではありますが、大切なことは、自分がその金融商品、またはポートフォリオ全体を、どのぐらいの期間を見越して運用していきたいと考えているのかということを明確にしておくということです。

「1年間でプラス 20%の運用成果を達成したい。」と考えている人が狙うリターンに伴うリスク量と、「10年かけて資産を 20%増やしたい。」と考えている人が狙うリターンに対するリスク量というのは、全く異なってくるということです。

当然ながら、短期で大きなリターンを狙いにいく方が、長期で構えて同じリターンを狙いに行く場合よりも、より大きなリスクをとらなければならなくなります。

したがって、自分がどのぐらいの期間を前提にして資産運用に取り組んでいこうとしているのかという「期間」によっても、とれるリスクの大きさが変わってくるということになりますので、リスクについて検討する際には、そういった点も考慮しておかなければならないポイントです。

「運用機関」と「リスク許容度」の関係

自分が保有しようとする商品の「想定保有”期間”」と、それに期待する「リターン」を鑑みて、そこに内在するリスクが大き過ぎやしないか検討をする

<ポイント3>初心者が陥りやすい ”ワナ”に気をつける

資産運用・株式投資の”初心者”が陥りやすいワナ|失敗例から学ぶ運用術

最後に、これまでの話を踏まえて「資産運用や証券投資を始めた投資初心者が陥りやすいワナ」という観点から、実際にどういった行動に気をつけるべきなのか、まとめておきたいと思います。

投資初心者がその投資行動において気をつけておかなければならないポイントは、

  • 専門家等の意見をそのまま鵜呑みにしてしまう (自分で考えていない)
  • リスクを把握できていない状態で金融商品を買い付けてしまう (勉強・経験不足)
  • 自分が何を知らないのかを知らない (時期尚早)
  • 損失が発生したことを全て失敗と決めつけてしまう (事実誤認)

こういった部分になります。

順に見ていきましょう。

人の意見を鵜呑みにしない

一般投資家の初心者が陥りやすいワナのうち、どうしても一番初めに出くわすこととなる問題、それが、

専門家 (自称含む) の意見に流されてしまう

というものです。

新聞やテレビ、雑誌やネット記事などに出ている「投資・運用に関する話」、特に安易な「儲け話」を鵜呑みにし、その通りに投資を行った結果、損失を膨らませてしまうというケースです。(金融機関の窓口や営業担当者からの、”最もらしい” 勧誘も含みます。彼ら彼女らの多くは、あなたの資産を増やしていこうなどとは考えていません。自分のノルマを達成したい一心です。十分お気をつけください。)

これは、「初心者なのだから、専門家等の意見を参考にするのは当たり前。」という観点で言うと、ある意味で「仕方がない」と情状酌量の余地もなくはないのですが、その一方で、初心者が最も避けたい事態であることも事実です。

もちろん、投資・運用の上級者たちも、様々な専門家の意見というものを1つの材料として参考にすることはあります。(もちろん ”胡散臭い儲け話系” は無視)

ただ、大切なことは、最終的に自分の頭で考え、整理し、見通しやリスクなどについて納得した上で売買ができているかどうかということなのです。

ではどうすればそういった専門家の意見に流されて、不要な損失を膨らませずに済むのか。

答えは簡単です。ここでも、

自分が納得して判断できる時が来るまで始めない

ということが非常に重要なのです。

これも前述しましたが、やはり「解るまで始めない。」「安易に手を出さない。」「自分が理解できていないということを理解する。」ということが初めのうちは非常に大切になってくるわけです。

自分自身の頭で、投資判断に係る各材料を精査し、リスクとリターンのバランスに関する部分までしっかりと納得できた上で投資・運用を行えるようになるまで、【マネージャー】とともに研鑽を積んでいきましょう。

リスクを把握できていない

これは今回の記事の中でも特に強調してお伝えして来た ”最も重要なポイント” で、しつこいようではありますが、最後にもう一度だけ念を押しておきたいと思います。

資産運用や証券投資において、大きな失敗を犯してしまわないために最優先で考えておくべき事、最重要と言えるポイントは、

「リスクを常にコントロールしておく」

ということです。

細かい事はもう言いません。改めて整理しておきたいという方は是非何度でも本文を読み返していただければと思います。

ただ、最後に一点だけ、「買わなきゃ買わなきゃ病」についてのお話を付け加えておきたいと思います。

これも初心者がよく陥りがちなワナの一つと言えるものになりますが、熱心な勉強家の人や、とにかく焦りの感情が先行してしまっているという人によく見られる傾向です。

要は、その名の通りではありますが、様々な金融商品を知り、その考え方や注意すべきポイントについてなんとなく実感が湧いてくるようになると、すぐに「さて、じゃあどれを買おうか。」と、いわば”買い急いで”しまう人が出て来てしまうのです。

「【資産運用】『金融商品の種類』初心者のあなたがまず買うべきものとは」の中でもお話していることではありますが、実際に金融商品を買い付けるタイミングというのは、あなたが決めるのではありません。マーケットが決めるのです。

「待つも投資。」と言われる様に、相場には適切な参入のタイミングというものがある程度存在しています。そしてそのタイミングというのは、波の様に、何度でも訪れます。

したがって、これも ”リスクをコントロールする” という意味での行動の一つとして、買い急ごうとしてしまいそうになった時には、改めて「急いては事を仕損じる」と肝に銘じ、”参入のタイミング” を自分自身の能力という観点から見極めるという『ブレーキ』も大切にしてもらいたいと思います。

自分が「何を知らないのか」を知らない

これも運用や投資について少し理解ができ始めると陥りがちなワナですが、「自分が知らないことを知らない。」「本当に知らなければならないポイントを知らない。」というものです。

今回本文中で、初心者が「”知っておかなければならない” ポイント」に関しては、しつこいくらいに繰り返しお伝えして来たつもりですので、この記事をしっかりと読み込んでいただいた方は大丈夫かとは思いますが(併せて当サイトの他の運用初心者向け記事も是非ご覧ください。)、初心者のうちは特に「何もかもが解らない。」という状態かと思いますので、まずはその第一歩を正しく踏み出していくために必要な知識を効率よく身に付けるという事が重要です。

運用にとりかかるために押さえておきたい、本質的な仕組みや目指すべき方向性、学ぶべき事を知らずして、やれ「どの株が儲かりそうか。」「誰々が言ってるのだから大丈夫だろう。」といったあいまいな判断基準で運用を進めて行ってしまっては、果ては”誰かのせいにする”というのが関の山です。

自分が本当に知っておかなければいけない大切なことを ”知らない” という問題を棚に上げ、損失を被った時には他の誰かのせいにしてしまうというのは、これも初心者によくある態度の1つでもあるのですが、やはり資産運用で大きくつまづいてしまうような事態に陥ってしまわないためにも自分が何を知らないのか、何を知っておかなければならないのか、そういった観点から自分自身の知識・能力を冷静に見極めていくということが全ての出発点となるという戒めを常に持っておくようにしてください。(資産運用を基礎からしっかり学びたいという方はこちら)

「損失=失敗」という思い込み

これも詳しくは本文中でお伝えしていますので、ここで改めて詳しくはお話しませんが、見通しを見誤ってしまった事による少しの損失、それも自分が想定していた範囲での損失についてまで、それら全てを”失敗した”と決めつけてしまうというのも、初心者が陥りがちなワナの一つです。

大切な事は、あなたがなりたい目標に向かってしっかりと歩みを進めることができているかどうか、自分が行きたい方向へと向かう事が出来ているか、という視点です。

その目標へと向かう道中において、自分で想定できていた深さの傷というのは、許容すべきものだと捉えられるようになりましょう。

「1円でも、1%でも損をしないことを目指す。」などということは、一定の期待リターンを追求することを前提とするならば、はっきり言って100%不可能です。

もしもそのように、絶対に1円も損をすることが許せないというのならば、全てを国債の購入か、ペイオフの範囲内で銀行預金に分散して預けておきましょう。

もう一度言います。

決して、「損失=失敗」ではありません。

あなたがしっかりと自分自身の投資方針やリスク許容度を理解した上でとったリスクによって発生した実現損というものは、その後の”糧”となるものだという風に捉え直しましょう。

目指すべき場所は、あくまでもあなたが思い描く理想の姿、経済的な不安を払しょくできた状態です。

そのために学びましょう。

そこにマネージャーの記事も是非活用していただけると、大変嬉しくしく思います。

まとめ

大変お疲れさまでした。

今回は「投資初心者が運用に失敗しないためのポイント」というテーマで、意識しておくべき大切な部分について余すことなく、そしてしつこいぐらいに口酸っぱくお伝えしてきましたので、非常にボリュームの多い記事となりましたが、これも投資初心者の方々に不要な損失を膨らませていってもらいたくないからです。

ここまで全てに目を通して頂いた方は、相当疲れたのではないかとは思いますが、今回の内容は投資初心者にとって本当に大切なものばかりです。

その他当サイトの初心者向け記事も含め、迷いが出てきた時など、必要に応じて何度も読み直し、しっかりと本質を捉えるための努力を続けていってください。

初心者のうちは本当に解らない事だらけで不安になることも多々あるかとは思いますが、今回の記事の内容が、少しでもあなたのこれからの考え方、取り組み方の参考になれば幸いです。

遥か彼方へと無限に広がる投資の世界を、思う存分楽しみながら学んでいっていただけたらと思います。

経済的不安を払拭し、自由な人生を生きる!あなたならできます!

応援しています。

それでは、また。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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